7月29日(土)30日(日) 静岡文化芸術大学(静岡県浜松市)において、第55回学術研究大会が開催されました。「つくり出す喜びから生きる喜びを求めて-美術教育の力を改めて問うー」という基調提案は、長年本学会静岡支部が取り組んできた研究テーマであり、そこで報告された鈴木英司先生の中学校での実践に基づく生徒の「振り返り」は、私たちが美術教育で育てるべき子ども像と、そこに導く美術教育のあり方を示唆するものとして多くの共感を得ました。 それに続く、パネルディスカッションを中心とした共同討議では、「つくる」ことが「生きる」にどう関わっているか、とういうことを皮切りに、美術教育の力を失わせているもの、問題点はどこにあるのか、といったことを柱に2日間に渡って討議されました。 そこでは、今回発表された実践研究に通底する、作品主義とは一線を画した美術教育のありかた、理念をふまえ、実践に根ざした子ども理解の重要性、子ども同士の他者理解を促す美術教育の可能性、アートによって人と人とをつなげていく取り組みの美術教育としての可能性などから、「美術教育の力」を見据え、それを失わせているものを明確にさせその変革を迫るものでした。 それは、未だに陥りがちである「作品主義」と「放任放縦」の教育からの脱却と、その具体的あり方を多様に示していくことの重要性が確認されました。 また、教育改革の度に周縁化される美術教育が、実は人間のいのちに触れ、いのちのつながりを感じながら自己実現していく人間教育として重要なものであることを、直接的には教育課程審議会報告への意見書として本学会でまとめて提出したものを紹介しながら、学会として強く主張し改善を求めていくことと、その一方でまずは自分自身の実践を通して美術教育の力を示し、伝えていくこと、さらには親や、仲間の教師たちに伝えていくことの重要性が確認されました。 参加者は150名に迫り、中でも地元静岡県下の幼・小・中の教師の積極的な参加が見られました。また、初参加者も多く、「はじめて参加したが、大変感銘を受けた、参加してよかった」という嬉しい声をいただきました。 次回は平成19年8月9日10日、青山学院大学(青山学舎、東京都)で行われます。 参加頂いた方の感想、ご意見など、遠慮なくこの記事にコメントして頂けると幸いです。
by aesj
| 2006-07-30 23:32
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